GUIDE
By Jack Fukushima
野生のコアラに出会える最北端の場所と聞いてタウンズビルからマグネティック島への旅を決めました。日本から直行便のあるケアンズからは飛行機で1時間、車を運転して4時間ほど南下した位置にあります。
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今回はSealink社の午後便のフェリーに乗り、タウンズビルからマグネティック島への移動を行い、現地では地元のバスを利用してトレッキングポイントまで向かいました。コアラの話は後半に!
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Sealink社のウェブで往復乗船券を事前予約すると割引を得られました。フェリーチェックインカウンターでは予約時に発行されるQRコードで船に乗り込みます。
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タウンズビルからマグネティック島へのクルーズは40分弱で船酔いの心配も少ないと思いますが心配な人は1階に席を取る方が揺れないと思います。利用客は島の住民や宿泊する人たちも多いので大きな荷物を搬入する姿が目立ちました。日帰り旅の僕はバックパック1つにビーサン姿。装備に不安も感じながらも海風、波音が初めて訪れる島への期待度を上げ不安を払拭してくれました。
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マグネティック島に到着すると、のんびりとした島の雰囲気と原生の風景に迎えられます。フェリーターミナルを出ると目の前にバス停があるので迷う事なくトレッキングスタートポイントへ向かえます。
島内の移動はローカルバスが便利で住民だけでなく観光客も利用していました。バス停ではない場所から住民を乗車させたりとローカルの雰囲気も楽しむことができます。支払いはクレジットカードで往復券を購入できます。ペラペラのチケットを渡されるので帰路までしっかり保管しておく必要がありますが、失くした人も復路だという事を説明して乗車させてもらっていました。本当にQLD州の人はおおらかです。
マグネティック島はさまざまなフィットネスレベルや滞在時間に対応したハイキングコースがありますが、今回は野生のコアラ遭遇確率が高いフォーツ・ウォークを歩きました。このコースはしっかり整備されており周囲の海や自然などの絶景を一望できるだけでなく、第二次世界大戦の歴史的な遺産として残る軍事施設跡も歩いて巡ることができます。
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第二次世界大戦中、オーストラリアは日本との戦争に備えて沿岸防衛を強化するためにここに軍事施設を建設したそうです。フォーツ・ウォーク周辺には、当時の軍事拠点が築かれ、兵士たちが島を防衛するために活動していた歴史的な痕跡が残っています。
フォーツ・ウォークは自然と歴史が調和する場所で、戦争時の要塞跡とコアラが好むユーカリの木々が共存し、日本人として興味深くも複雑な感情になりました。
フォーツ・ウォークの頂上には見晴らし台があり、そこからの景色は絶景でした。戦争中に築かれた要塞跡の周りに広がる海や島の風景は、当時の兵士たちが目にしていたであろう風景や心情と対照的だったのだろうと思いを巡らしました。歴史と自然の調和を感じながら、戦争という歴史的な視点からも島を眺めることができました。
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フォーツ・ウォークには、歴史的な遺産に関する解説板や情報ポイントが設置されています。第二次世界大戦中の出来事や施設の目撃談などが詳しく紹介されていました。道中1箇所だけ飲み水を得られる場所もありましたが、大きなタンクに雨水を溜めてフィルターを通しているだけなのか、少し匂いがするので飲み水としての利用は躊躇しました。夏場や暑い時間帯に歩く時は自身で余分に水を持って行った方が良いと思います。
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歩き始めはコアラが好むユーカリの木を探し上を向いて歩いていました。少しの忍耐と鋭い観察力で探し出すぞっ!と思って気合いは入っていたのですが途中で上を見続けるのも疲れたため、すれ違う人たちに声をかけてどこで出会ったか聞く他力本願方式に変えました。
初めに一人で歩いてきた男性に話しかけると『会えなかった』という回答でした。やはり野生のコアラに会うのは難しいのかもと思いながら、次に笑顔で下山してきたカップルに声をかけると『コアラに3回出会えた!』というではないですか。「どの辺りで?」と場所を聞いたら、『とにかく下を向いて歩き、木々で作られた矢印を探せ!』といいうアドバイス。
「どういう事?」と思いながらコアラがいるであろう場所とは反対の地面を見ながら矢印をさがしました。しばらく歩き、全ての枝が幻覚のように矢印に見えてきた頃、明らかに人に作られた矢印を発見しました。
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矢印の先にある崖をビーサンでよじ登り、草木をかき分けて進むと「いました!」それも僕の事を待っていたかのような驚くほど低い位置で『遅かったなぁ』という顔をして。
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そこからは余裕も出てきて矢印探し。不思議なくらい次から次へと矢印が見つかります。途中僕を追い抜いていった人たちは矢印に気づかなかったのかコアラに興味がないのか、コアラがいる場所には誰もおらず独占し続けることができました。
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僕が野生のコアラに満足して下山する時は、笑顔で話しかけてくる人には快く『矢印』の秘密を伝えました。このブログを最後まで読んでくれた人もマグネティック島では『矢印』を探すという事をしっかり覚えて訪れてほしいと思います。
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Sealinkフェリーでの船旅から始まったマグネティック島トレッキング半日旅はあっという間ではありましたが、内容も充実していて満足できるものでした。
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歴史的な魅力と壮大な展望が特徴のフォーツ・ウォークトレッキングは、野生のコアラを探すことでアドベンチャーな旅の舞台となりました。マグネティック島は自然と歴史観光の調和が取れており、誰が訪れても思い出に残るエコ意識の高い体験を提供してくれるはずです。次回はしっかりしたシューズを持参して宿泊しながら島のトレッキングコースを制覇してみたいと思っています。
文・写真(タイトル下のトップ画像含む):Jack Fukushima (旅コーディネーター)